Épagneul Breton−Vol.4
なぜ兎猟にはビーグルを使うの?!!
 ビーグルと言えば「兎猟」。ビーグルがもともと猟犬で、兎猟に使われることはある程度犬に
関する知識のある人なら知っているでしょう。この兎猟=ビーグルと言う組み合わせは、他の
どの種の猟と猟犬との組み合わせより際立って、ほぼ100%のマッチングと言えるのです。

 では、なぜ 兎猟=ビーグル なのでしょうか?

 それはビーグルの運動能力と兎の習性とが大きく関係しているからです。

 兎は自然界では繁殖力が旺盛ですが、草食で弱いため、狐・狸をはじめとした肉食獣類、蛇、
猛禽類などの恰好の餌食となります。

 犬もほとんどの犬種が兎に興味を示します。
 独ポインター(ジャーマン・ショートヘァード・ポインター)を筆頭に、欧州大陸では鳥猟犬であっ
ても兎にも反応するように訓練されることもあるようで、フランス・ブルトンもまた例外ではあり
ません。

 しかし、鳥猟犬による兎猟はあくまで「五目猟」の一部分であって、兎を主目的に行う訳でも
なく、平野部ならともかく、見通しのきかない山中では撃つことさえままならないと思われます。

 日本に伝わる「兎と亀」の話では、兎は自信過剰で怠け者とされていますが、果たして 実際
にそうなのでしょうか? 

 実はビーグルによる兎猟は「兎と亀」の話にとても良く似ているのです。

 兎は俊足です。もし平野部で足の速い鳥猟犬にでも追われたら、兎は一目散に駆けて巣穴に
逃げ込もうとします。狩猟者はその前に、しかも犬が兎に追いつくまでに撃たねばなりません。
 しかし、先に書いたように見通しの悪い山中などでは、鳥猟犬による兎猟は成立しません。
 なぜなら、自犬を撃つ可能性があり、犬が兎に追い付きでもすれば、その危険度が極めて高
くなるからです。

  猟とは狩猟者(人間)が獲物に攻撃を加えるものであって、犬は追跡、指示、確保などあくま
で補助的な役割に従事するのです。言わば主役と脇役の関係なのです。
 もし犬が自分で兎を捕まえて狩猟者のところへ戻って来たとしたら、そこには狩猟の醍醐味
など全く存在しなくなるのです。

 兎に追いつけない犬、自分の力だけでは兎を捕まえられない犬に兎を追わせたら・・・
 足の遅い追跡犬・・・???

 ビーグルは腹から背中・頭にかけて白・タン・黒の三色のハウンド・カラーが示すように、
れっきとしたハウンドです。従って獣の足臭を追う追跡犬で元来は気性も荒く、ビーグルの
ハイブリッドなどは猪でも追いかけ攻撃します。

 ビーグルには様々のサイズがありますが、兎猟に長く用いられてきた結果として、足を遅く
するために短足、小柄に改良されたとも言える追跡犬がビーグルなのです。

 一方、兎にも奇妙な習性があり、山中を八の字の円(∞)を描いて、同じ軌道を何度もぐるぐ
ると逃げ回ります。しかも相手と一定の距離を保って巧妙なトリックなどを使い、臭線を切って
延々と逃げ続けるのです。余程足と逃避術に自信があるのか、相手の疲れを待っているのか、
相手をバカにしたように逃走劇を愉しんでいるのか、どういう訳か一気に逃げ切ることをしない
のです。

 「兎と亀」の話のように休み休みしながら逃げているかどうかは分かりませんが、足の遅い
ビーグルはいつまで経っても兎に追いつくことは出来ません。
 しかし追跡している間中、絶え間なく独特の乾いた声で「ウォン・ウォン」と追い鳴きを続ける
ので、狩猟者はその山中に描かれた大きな八の字の軌道を把握し、兎が姿を見せそうな少し
開けた場所を選定して待伏せるのです。

  待伏せ場所に現れた兎は轟音とともに地に転がり、しばらくして犬が追いついて来ると言う
のがビーグルによる兎猟の形であり、他にこれに勝る猟法はありません。

 平成2年からのバブル崩壊、エコロジー運動の高まりにより毛皮に対する価値観やそれを
着ることへの倫理観が変わり、オートクチュールのフェイク採用などの影響で毛皮の価格が
暴落したため、狐や狸を獲る狩猟者がいなくなって生態系に影響が出ています。

 狐や狸は兎、キジ、ヤマドリなどの天敵です。ゲームの減少により鳥撃ちやビーグラーも激
減しており、最近では見かけることも極めて少なくなりました。
 逆に、日本オオカミの絶滅と、長過ぎた保護策によって鹿が大繁殖し、農林業に甚大な被
害を及ぼしています。

 山間部へ行くと鳥猟の犬しか連れていないのに「鹿を撃ってください、お願いします。」と懇
願される始末です。

  日本の兎猟は東日本よりも西日本、特に九州が盛んなようで、サツマ・ビーグル、カラツ・
ビーグルなどと言った優秀な系統がいて、世界的に知られています。

 現在ほとんどのビーグルは攻撃性を低く抑えられ、愛玩用として供されて人気犬種となって
います。
 また、小柄で扱い易く、特に多産であることから、動物実験用として多頭数が利用されてい
ます。
 用途の違いはあれ、その恩恵を蒙る人の数からすると、ビーグルが一番人類に役立ってい
る犬種と言えるのかも知れません。


                Un maximum de qualités dans un volume minimum.


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